自分にも過失があるが、会社に対して損害賠償できる?
自分にも過失があると会社から言われたり、会社から言われなくてもそのような自覚があったりすると、会社に対する民事上の損害賠償請求(なお、労災保険の請求は労働災害である限り可能です)ができるか不安に感じられると思います。
しかし、結論から言えば、労働者側に過失があったとしても、会社に対する損害賠償請求が可能なケースは多くあります。
次のように考えることになります。
まず、労働災害(労災)の発生について誰に落ち度があったのかを確認します。
会社で働いている以上、会社には労災の発生防止に向けて労働環境を整える義務があります。これを安全配慮義務といいます。
労災については、会社が万全の体制を整えておけば、発生を予防できたケースが大半です。
したがって、会社には程度差があるにせよ何らかの落ち度が認められる傾向にあります。
一方で、労働者にも落ち度が認められるケースはあります。
被災した労働者以外にも同僚が労災の原因となっているのであればその同僚にも落ち度が認められるかもしれません。
このように、労災の発生原因について、被災した労働者や会社を含めていくつかの落ち度(過失)が競合しているケースは非常に多くあります。
次に、この落ち度の度合いを評価します。例えば、労働者30:会社70などのように割合を決めます。
この割合は、交通事故のようにある程度類型化されていれば分かりやすいですが、労災についてはそれほど類型化されておらず度々問題となることがあります。
結局は類似の裁判例等を参考にしながら、話し合いで決めるか、最終的には裁判所に判断してもらうことになります。
このときに決まる落ち度の割合を過失割合と言います。
労働者が会社に対して損害賠償請求できるのは、会社側の過失(つまり労働者の過失割合を控除した割合)に相当する損害です。
請求する損害額から労働者の過失割合分を控除することを過失相殺といいます。
なお、労災保険の受給についてはこのような控除(過失相殺)はされません。
以上のとおり、会社側に過失がある限り、同時に労働者にも過失があったとしても、過失相殺によって減額されるとはいえ、基本的には会社に対して損害賠償請求をすることができます。
しかし、実際には、会社から「うちには過失がない」等と言われて、請求を断念してしまうケースが散見されます。
会社に過失があるかないかは、会社が決めるのではありません。最終的には裁判所が決めることになります。
したがって、会社が「うちには過失がない」と主張しても、それを鵜呑みにする必要はありません。
いずれにしても、すべての事案が裁判になるわけではありませんので、会社との話し合いの段階で過失について話が出た場合には早い段階で弁護士に相談されることをおススメします。