タンク内の死亡事故で責任を否定していた会社から裁判で賠償を受けることができた事例

事案の概要

 被災者 50代 男性

 職業 清掃業

 被災内容 死亡 

 

依頼のきっかけ

 被災者は、タンク内の清掃作業をしていたところ、ある気体を吸引したことで、突然、酸素欠乏状態になり亡くなってしまいました。

 突然の出来事に驚いたご遺族からのご相談で、会社の事故態様等に対する説明について不信に思うところがあり、今後の対応を不安に感じたためラグーンにご依頼されることになりました。

 

交渉・訴訟の経緯

 まずは災害の発生状況を明らかにするために、ラグーンから会社宛に詳細な質問文をお送りしました。

 事実関係がある程度明らかになったところで、会社の安全配慮義務違反があることを前提に、会社に対して損害の賠償を求めました。

 しかし、会社としては、会社に落ち度はない、会社が災害発生を防止することはできなかった、専ら従業員の過失で発生した災害であるため賠償責任はないとの主張でした。そのため、速やかに訴訟提起を行うことになりました。

 裁判では、刑事記録の取り寄せ等を行うとともに、会社に対して日ごろの安全管理体制について詳細な説明を求めました。また、災害の発生状況について目撃者である他の従業員数名の尋問をしました。

 その結果、会社が当初説明していた内容と実際の災害発生状況には異なる部分があることが分かりました。また、安全管理体制としても、極めて杜撰な状態であったことも明らかになってきました。

 その後、裁判官から会社の責任を認める内容(ただし過失相殺はあり)の和解案が提示され、当方としても受け入れることができる内容であったため和解で解決するに至りました。

弁護士の目 

 死亡事故の場合、被災者自身が亡くなっているため、災害の発生状況について明確に確認ができない、あるいは会社側しか把握していないという状況になることがあります。そのためご遺族からすると大切な人が亡くなったにもかかわらず真実を知ることができず悲嘆に暮れるという事態が生じてしまいます。さらには、会社が「死人に口なし」を良いことに保身のため自分勝手な主張をしていると感じてしまうケースも存在します。本件もそのような事案でした。

 本件は災害の発生状況が分かりにくく、そのため安全配慮義務違反の内容を特定することも非常に難しい事案でした。それでも、綿密に依頼者と打ち合わせをして、裁判の中でも証拠収集手続を取って、慎重に事実関係と会社の責任を明らかにしていくことができました。困難な事案でしたが、粘り強く証拠収集手続をとることで、ある程度は真相に迫ることができ、ご遺族としてもまずはその点で納得感を得られた事案でした。

 結果としても、裁判所は当方の主張を認めてくれたため、無事解決となりました。