高所からの墜落で足を骨折し12級の認定を受けた被災者が、在職したまま弁護士へ依頼をして交渉で解決した事案
事案の概要
被災者 40代 男性
職業 正社員
被災内容 左足骨折
依頼のきっかけ
被災者は工場内の高所で作業をしていたところ、足場が崩れ墜落し、左足を骨折しました。一定期間の治療を受けた後も、痛み等の症状が消えず、仕事にも支障がある状態でした。
収入減の可能性など主に経済面で不安を感じていましたが、勤務先と補償内容について直接話し合いをすることで感情的になり無用なトラブルに発展する可能性を心配し、弁護士へ依頼することになりました。
交渉の経緯
弁護士が代理人として請求内容を算定した後、会社へ手紙を送りました。会社側から連絡があり、保険で対応する予定であるとの回答でした。
しばらくすると会社が依頼した弁護士から連絡がありました。この時点で、被災者側の弁護士と会社側の弁護士、双方ともに弁護士に依頼をして交渉をすることになりました。
会社からは主に過失相殺についての主張がありました。こちらが提示した損害項目に対しては、裁判となったときの基準どおり(慰謝料の金額、逸失利益の計算等)での回答でしたので、過失相殺のみが実質的な争点となりました。
その後、過失割合について双方の主張を出し合うかたちになりましたが、最終的には、会社側もある程度割合について譲歩をしてきたため、被災者としても早期円満解決を望み、折衷的な割合(裁判のときにある程度想定される過失割合の範囲内)で合意をすることになりました。
弁護士の目
弁護士が代理人として会社の安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求をするとき、多くの事案では、すでに被災者は会社を退職しているか、退職を決断しています。しかし、今回のように、在職したままで、賠償の交渉を弁護士へ依頼するという事案も一定数あります。
「今後のことを考えると賠償を求めたいけど言い出せない」、「変に揉めたら会社にいられなくなるのでは」、「同僚にも知られないか心配」という点で在職しながらの請求をためらうのはごく自然な感覚であると思います。
とはいえ、受傷内容によっては、本来なされるべき賠償金額が高額になることもあります。色々と事情はあるにせよ、上記のような理由から請求自体をすべて諦めることはあまりおすすめできません。
また、今回のように弁護士を代理人にすることで、直接の話し合いでは言い出しにくいことも弁護士から伝えることができたり、双方が弁護士に依頼をすれば裁判を見据えた基準で解決をすることができたりするケースもあります。
会社側も、労働者に対してできるだけ補償をしてあげて、円満に解決をして今後も在職してもらいたいと考えている場合もあるものです。
いずれにしても、「請求はしない」と即断するのではなく、弁護士に相談をして、どの程度の請求が成り立ちうるのか、請求するにしてもどのような流れ、タイミングで請求をすることができるのか、十分に検討してみることが大事です。
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- 高所からの墜落で足を骨折し12級の認定を受けた被災者が、在職したまま弁護士へ依頼をして交渉で解決した事案
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