化学薬品を扱う作業に従事していた被災者が労災認定を受け、会社に対して慰謝料と休業損害の賠償を請求し、裁判外で早期解決ができた事案
事案の概要
被災者 50代 男性
職業 正社員
被災内容 気管支喘息
依頼のきっかけ
化学薬品を扱う作業に従事していた依頼者は、ある日から喘息が酷くなり、就労ができなくなりました。
喫煙の習慣はあったものの、この現場で働くようになってから、症状が酷くでるようになったため、依頼者としては、労働災害ではないかと考え、労災申請をしました。
そうしたところ、労災認定がされたことから、会社に対する責任追及を考え、依頼することになりました。
交渉の経緯
労災記録と医療記録の開示を受けて、会社の安全配慮義務違反の有無を調査しました。
労災記録からは、職場における防毒マスクの利用の不徹底が気管支喘息を発症した一要因であることが分かりました。そのため、この点について会社に安全配慮義務違反を追及できると判断し、慰謝料と休業損害を求めて、会社との交渉を開始しました。
交渉の結果、比較的早い段階から、会社は責任を認め、請求金額の満額ではなかったものの、概ね(8割程度)当方の主張に応じるスタンスでした。裁判をしたときの過失相殺の見込みを考えると妥当な金額であると判断されたことから、裁判外で早期の和解が成立することとなりました。
弁護士の目
この度のケースのように、悪環境における長期間の作業従事が原因で、循環器系の症状を発症した場合、因果関係の立証が困難となる事案は多くあります。
しかし、だからといってすぐに泣き寝入りする必要はありません。医療記録と労災記録を精査することで、ある程度の証明が可能になることもあります。また、他原因を排除できれば、裁判上の請求が可能になるケースもあります。
このようなケースで証拠を集めたうえで的確な見通しを立てることは、専門家でないと難しいところです。同じようなお悩みをお持ちであれば、まずは労災事件に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
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