労働災害に遭ってしまったが、今後の流れが分からない
労働災害(労災)に遭った場合、一般的にはどのような流れで進んでいくのでしょうか。被災した労働者の立場からみたポイントをご説明します。
1 労災の発生
まずは会社に対して報告をします。裁判などになったときに、会社が後から「聞いていない」「知らない」「そんな事故はない」と否定してくる可能性も否定できません。
そのため、日報、メール等のできる限り記録として残るかたちで報告をしておくことが望ましいです。
怪我をしている場合には速やかに病院へ受診しましょう。
労災の発生状況が後々問題(誰にどの程度の落ち度があったのかが争点)となってくる場合もあります。余裕があれば、写真を撮ったりして当時の状況を証拠として残しておくと良いでしょう。
労災保険制度によって、必要に応じて請求をすれば治療費、休業補償等の様々な給付がなされます。
2 治療
怪我をしている場合には治療を受けることが最優先となります。
合理的な理由がないにもかかわらず初診が遅れると(例えば、初診が2週間後等)、後になって、「怪我はしていない」「大した怪我ではない」等と言われて揉めることがあります。
治療を受けた病院に対して「療養(補償)給付」の請求用紙を提出することで、多くの病院(労災指定医療機関)では無料で治療を受けることができるようになります。
当面は治療を継続しますが、この間に仕事ができず給与が支払われないと困りますので、「休業(補償)給付」の申請を行ないます。請求用紙を労基署に提出することになります。
これらの申請手続はそれなりの規模を有する会社であれば会社内に担当部署がありますので、そちらで対応してもらうほうがスムーズであることも多いです。
3 後遺障害の認定
一定期間治療を続けた後、症状が安定し、疾病が固定した状態になると(これを症状固定とか治癒と呼びます)、後遺障害の認定を受けることを検討します。(なお、症状が特に残っていなければ、4の賠償へ移ります。)
後遺障害の認定は、主治医に専用の診断書(後遺障害診断書)を作成してもらい、これを労基へ提出することで行ないます。
労災保険では、症状固定時に残っている症状(後遺症状)が一定の条件を満たすときに、後遺障害と評価して、その程度(どの程度の労働能力喪失をもたらすかが基準)に応じて1級~14級の後遺障害等級を認定します。
認定された後遺障害等級に応じて「障害(補償)給付」の支給がされます。
4 賠償
後遺障害の内容が確定すると(後遺障害がない場合には原則として治療が終了した時点で)、ようやく労災によって生じた損害の全容が明らかになります。そこで明らかになった全損害について賠償を求めることになります。請求先は、会社や怪我をさせた加害者がいる場合にはその加害者になります。
労災保険で対応されたので十分、もしくは会社や保険会社から別途お金を受け取ったので賠償は終了したと安易に考えないようにしましょう。
労災保険では慰謝料つまり精神的苦痛に対する賠償金の支払はなされません。
また、すでに受け取ったお金があってもそれが客観的にみて損害を穴埋めするのに不十分であれば不足分の穴埋めが必要になります。
被災した労働者が受け取るべき賠償金は、あくまでこれまでの裁判例等で集積された相場による賠償金です。
会社や保険会社が一方的に決めつけた金額ではありません。
適切な賠償金を受け取ることで一段落となります。
以上が被災したときの基本的な流れになります。
多くの方が労災に遭うのは初めてであると思います。ご不安な状態では治療に専念できません。分からないことばかりですとストレスが溜まります。適切な賠償がなされないことは二次被害です。
ラグーンではどの段階でのご相談、ご依頼でも対応させていただきます。
ご不安なことがあれば気軽にご相談ください。